ぶどう山椒

ぶどう山椒 ひろがる用途

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ぶどう山椒のお酒

クラフトビールの可能性を引き出す
ぶどう山椒の魅力

株式会社CAMPS有田川NOMCRAFT Brewing
ブリュワー/PRマネージャー
金 子 巧

取材日:2020.6.29


保育所をリノベーションした複合施設で営業する「NOMCRAFT Brewing」

ブリュワー/PRマネージャー 金子巧さん

そこにあるものが、
クラフトビールの個性となる

有田川沿いに広がるみかん畑に囲まれて、NOMCRAFT Brewing(以下、ノムクラフト)の朱色の屋根が山々の緑と青空に映える。

2016年に閉園した保育所の跡地にオープンしたノムクラフトは、米ポートランド出身のベン・エムリックさんとシカゴ出身のアダム・バランさん、愛知県出身の金子巧さんがビールづくりを行う、クラフトビールの醸造所だ。

「レギュラーメニューとして醸造しているのは、IPA(インディア・ペールエール)とゴールデンエールの2種類です。その他にも、月替わりのオリジナルビールや有田川町で収穫されたミカンやデコポン、ハチミツにベルガモットなどを使ったビールも作っています」

ノムクラフトではドイツ、ベルギー、カナダやアメリカから取り寄せた数十種類のホップを使い、これまでに約40種・25トンのビールを醸造してきた。そうした中、地場に根づいた食材をビールづくりに活かすことができないか──そうした想いが少しずつ強くなっていったという。

「ビールづくりの基本となるのは、水、ホップ、酵母、そしてビールの特徴を決める副産物です。香りや苦味をいかに組み合わせ、味わいをデザインするかがブリュワーとしての腕の見せどころ。僕たちが得意とする爽快感やホッピー感を表現するのに、ぶどう山椒はもってこいの食材でした。あと、有田川町でブリュワリーをやる以上、ぶどう山椒を避けて通るわけにはいきませんしね」と、金子さんは笑う。

微かな刺激が心地いい、ぶどう山椒ビール

現在、ノムクラフトがラインナップするぶどう山椒ビールは、「SANSHO NOMCRAFT IPA」と「NOMNOM SANSHO GOLDEN」の2種類。それぞれレギュラーメニューのクラフトビールに、有田川産のぶどう山椒を加えている。

「SANSHO NOMCRAFT IPAに使っているホップは5種類。シトラスのような香りに南国を感じる風味、喉をくすぐる微かな山椒の刺激が感じられるはずです。NOMNOM SANSHO GOLDENはスッキリ感を重視して仕上げました。上品で華やかなフレーバーを楽しめるので、仕事上がりでも週末のBBQでも、時と場所を選ばないビールです」

ひと口飲ませてもらうと、旬を迎えた果実の香り、トロピカルな風味、鼻腔を突き抜ける爽快感がそこにある。それぞれがぶつかり合うことなく調和を織りなしているのは、厳選しているホップの力だとか。

「うちの顔はIPA、その中でもホップの苦みやアロマを重視したアメリカンIPAがベースです。ホップを遠慮なく投入したことで感じられる華やかさと爽やかなホッピー感をぜひ味わってほしいですね」


「SANSHO NOMCRAFT IPA」「NOMNOM SANSHO GOLDEN」

クラフトビールの味わいと風味を決めるモルト

有田川の景観やぶどう山椒をモチーフにしたアイコンなど、ボトルデザインにも力を入れている

人と人、人と町をつなげる
クラフトビールの力

金子さんにビールづくりの魅力を聞けば、「出会うことのなかった人々と出会えること」だという。

「20代のころにポートランドを旅していたとき、たまたま有田川町の人と出会ったことから僕の《いま》と《ここ》があります。意図的ではない小さなつながりが、人生を変えるような変化や転機を導いてくれました。そんな力がクラフトビールにはあると思うんです」

ビールはブリュワーが醸造する。ではその醸造所を建てるのは? ビールの原料を育てているのは?

ぶどう山椒だけでなく、ビールの副産物として使っている食材はすべて有田川の農家に分けてもらった。ブリュワリーで使っている家具やビールケースは地元の工房が作ったもの。逆に醸造工程で処分するモルト粕は、栄養素たっぷりのエサとして近隣の養鶏場に譲っているという。

ブリュワリーに関わる多くの人たちが、クラフトビールという文化を醸成しているのだ。

ノムクラフトのビールを飲んだ人が、ちょっと気になって調べてみる。若者3人が立ち上げたビール醸造所では、ぶどう山椒を使ったビールも作っているらしい。何より有田川町というのは、ぶどう山椒の産地として全国的に有名だという。今度近くまで行くから足を伸ばしてみようか──。

小さな気づき、わずかな興味がきっかけとなり、人を動かす。そんな力がクラフトビールにはあるという。


醸造担当のアダムさんと金子さん(取材日、ベンさんはお休みでした)

有田川町の工房「SIL」によって生まれ変わった木製パレット製のビールケース

「どんなときでも味がぶれない有田川の水は本当に素晴らしい」とアダムさん

素材の魅力をボトルにギュッと閉じ込めた

暮らしに寄り添うノムクラフトのぶどう山椒ビール。ぜひお試しください

地域の架け橋となるクラフトビールづくり

金子さんとともにブリュワリーを運営するアダムさんは、友人のベンさんと一緒に日本でクラフトビールづくりに取り組むために来日した。

「ベンの出身地であるポートランドは、クラフトビールが文化として暮らしに根づいている町です。そんなポートランドと有田川町が、まちづくり分野で提携したのを知ってプロジェクトを提案したことから、ブリュワリーを立ち上げることになりました」

「生まれも育ちもバラバラな3人ですが、私たちはいつでも《地域の架け橋になりたい》と言っています。クラフトビールの世界には、個性的で面白い人がたくさんいます。面白い人たちが集まれば、そこに何かしらのつながりが生まれるのは必然。クラフトビールがあるところは、いつも面白いことがあるというカルチャーをぜひ知ってほしいですね」

ぶどう山椒ビールは、ノムクラフトに隣接するカフェや全国のビアバー、東京では有楽町にあるアンテナショップ「わかやま紀州館」などで購入することが可能だ。今後はオンラインでの拡販を含めて、さまざまなチャンネルで展開していきたいと金子さんは語る。

「置いてくれるお店を増やすのはもちろん、イベントにも積極的に出ていってまずはノムクラフトと有田川町の知名度を高めていきたい。町に人が集まり、出会いが生まれることで新たな文化が生まれる原動力となります。ノムクラフトと僕たちが作るクラフトビールが、そのきっかけになったらうれしいですね」

Information
NOMCRAFT Brewing

《ノムクラフト》という醸造所の名前は、「飲む」と「クラフト」を合わせた造語。醸造されたビールは隣接するカフェ「GOLDEN RIVER」や全国のビアバーで楽しめる。瓶ビールは醸造所とオンラインショップでも販売中。期間限定メニューも多数。
https://nomcraft.beer/

オンラインショップはこちら
https://nomcraftbrewing.stores.jp/

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