「他府県の方には特に有田山椒エールや有田みかんエールが人気ですね」と語る児島さん
食中酒にも向く「有田山椒エール」
「山椒を使ったビールは、いろいろな料理とも相性が良くて、食中酒にも向いているんです」と教えてくれるのはブルーウッドブリュワリー代表の児島章さん。和歌山県、中でも地元有田川町産の特産品にこだわってクラフトビールを製造している。「ぶどう山椒を使ったビールは、さわやかな香りと味わいで、油脂分が多いような料理でも口の中を洗い流すようにすっきりさせてくれるんです」。
「有田山椒エール」は、地元有田川町で採れたぶどう山椒の実をすり鉢でていねいにすりつぶし、ホップと合わせてボイル。一旦取り出した後に、半分は再びビールと一緒にタンクに漬け込んで造られている。飲むと、ぶどう山椒の香りが喉の奥から鼻に柔らかに抜ける。山椒独特の刺激が抑えられていて、最後に感じられるさわやかな香りが食事を楽しくしてくれる。イベントなどでも人気だそうだ。
コンセプトは地元のものを使うこと
和歌山は温暖な気候が特徴だが、多くの山や川があり一日の寒暖差が大きいなどの環境のバリエーションも豊か。そのため多様な農産物に恵まれている。児島さんが造るクラフトビール も、「有田みかんエール」や「いちごエール」「すももヴァイツェン」、有田中央高等学校で栽培されているマンゴーを使用した「マンゴーヘイジー」など、有田川町で採れるものを中心に和歌山県産の旬のものを使って、これまで14〜15種類ほどが誕生した。
素材探しは地元のつながりが心強い。「こんなものあるけど使う?」と新たな素材と出会ったり、「こんなものを作りたいけど、どうしたら良いかなぁ?」と相談したりするという。そんな中で誕生したものの一つに「備長炭スタウト」がある。児島さんが黒いスタウトビールを造りたいと考えていた時に「食用の炭があるよ」と知り合いがアドバイスをくれた。こうして煎って香ばしさを出した麦芽に、和歌山特産の紀州備長炭を組み合わせたクラフトビールが出来上がった。
「有田山椒エール」すりつぶしたぶどう山椒はホップと共にボイルして香りを出す