就農前の情報集めを徹底
私がぶどう山椒の栽培をするようになったのは、東京からのUターンがきっかけです。大学時代は愛知で過ごし、その後東京で働いていましたが、結婚を機に地元に帰ることを決意。 ぶどう山椒の農家をしていた親戚から、「仕事になるよ」という話をもらったことからぶどう山椒づくりをスタートしました。
私が幸運だったのは、家族をはじめサポートしてくれる多くの人たちと、就農する前段階から協力できたことだと思います。 畑探しや機材の準備といったハードの部分と、農業を仕事とする上で暮らしに必要なソフトの部分、どちらも大切でした。
農業をする上で、有田川町役場やJAと相談し、補助金制度をはじめとしたサポートを受けました。就農前はもちろん、農業を始めて10年近くたった今も困ったことがあればすぐ相談していますよ。
大阪などの都市圏からもすぐですし。 まずは一度、有田川町に来てもらって、いろいろご自身の目で見てみるといいと思います。
いま力を入れているのは有機栽培です。 農薬を一切使わないで育てているので実のなりが悪いところはありますが、ぶどう山椒のブランド価値を高めるためのアイデアを自由に出し、そしてすぐに試せるのは、自分の畑ならではのいいところですね。
- Point
- 自治体などの制度を有効活用する
「桑の葉茶づくり+庭師の仕事」で収入アップ
ぶどう山椒農家にとっての繁忙期は、毎年2回ある収穫時期です。 初夏の5月と、7〜8月が忙しさのピークですね。 5月に収穫する実山椒は佃煮などに、7〜8月に収穫した実は乾燥させて石臼などで挽き、家庭でもよく使われる粉山椒にします。 どちらもフレッシュで強い香りと、舌がピリリとしびれる刺激的な辛味が特徴です。
ただ、繁忙期以外の時期は比較的時間の融通がききます。 7〜8月の収穫についても、乾燥させて出荷するまでが私たちの役目で、粉末化などの加工はJAがやってくれます。 重機のような大がかりな機材は必要ありませんし、他の農業に比べて初期投資が低く、参入障壁が低いのも特徴だと思います。
ただ、私の場合は家族もいますし、年間を通した収入のことを考えて、ぶどう山椒以外にも収入源をつくる《ぶどう山椒+X》を実践しています。 それが「桑の葉茶づくり」と「庭師の仕事」です。
きとら農園の年間スケジュール