ぶどう山椒

ぶどう山椒を仕事にする

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BudoSansho+X山村のくらしをデザインする

ぶどう山椒農家の経営シミュレーション

山椒農家へのヒアリングをもとに作成した、収益・収穫目標や経費などの経営モデルをご紹介します。

シミュレーションモデル

夫婦二人
繁忙期には
アルバイトを雇用
○実山椒 3人×8日間
○乾燥山椒 1人×10日間
畑の面積:実山椒・乾燥山椒用
20アール=2,000平方メートル
≑600坪

 有田川町のぶどう山椒農家の収穫物は、「実山椒」と「乾燥山椒」が基本になります。栽培や収獲技術の向上に比例して、生産量が安定し、収益率も上がってきます。山椒は雌雄異株の植物ですので、雄木(おぎ)につく花の花粉を雌木(めぎ)の花が受粉することで実がなります。そのため受粉用に植えた雌木10本に対して雄木を1本植えていき、10a(1反)の農地に70〜80本を植栽するのが一般的な作地面積になります。
 除草や肥料やり、農薬散布、剪定など収穫期以外にも大切な仕事がありますが、5月中~下旬に10日間ほど行う実山椒の収穫と、7月初頭から8月中旬の乾燥山椒の期間以外は比較的落ち着いています。繁忙期は1年のうちに約60日しかありません。山椒の栽培だけでなく、兼業とのバランスも取りやすいですし、プライベートも、趣味、家族との時間を充実させるのも比較的選択が自由です。
 有田川町の山椒農家は、安定生産と品質向上を目的として、1968年に「しみず山椒生産組合」を設立しました。栽培技術の共有や、栽培・収穫・乾燥・出荷など各段階での品質の統一、高品質化を目指し、努力してきました。

 このように地域を挙げた取り組みによって、有田川町のぶどう山椒は高い評価を受けるようになりました。高齢化の進む中山間地において、ぶどう山椒生産は地域を支える重要な産業となっています。

生産収益の目標概算

品名 収量(kg) 収益目標
実山椒 200 568,000円
乾燥山椒 400 592,000円
合計   1,160,000円

具体的な収益試算(有田川町調査)

実山椒
目標収量(kg) 400
販売単価(円/kg) 2,600
粗収益(円) 1,040,000
肥料・農薬費 92,000
出荷経費 380,000
経費合計 472,000
純収益 568,000円
所得率(%) 54.6%
  • 〇販売単価は2018〜2020年の平均単価
  • 〇出荷経費は、段ボールなどの資材、出荷運賃、手数料、収穫期の雇用、運賃など
  • 〇雇用労賃は、5月収穫繁忙期に3人を8日間雇用するものとする。
    @8000円×3人×8日間=192,000円
乾燥山椒
目標収量(kg) 200
販売単価(円/kg) 4,400
粗収益(円) 880,000
肥料・農薬費 92,000
出荷経費 166,000
動力光熱費 25,000
乾燥機点検費 5,000
経費合計 288,000
純収益 592,000円
所得率(%) 67.3%
  • 〇販売単価は2017〜2019年の平均単価
  • 〇出荷経費は、段ボールなどの資材、出荷運賃、手数料、収穫期の雇用、運賃など
  • 〇雇用労賃は、7~8月収穫繁忙期に1人を10日間雇用するものとする。
    @8000円×1人×10日=80,000円
  • 〇動力光熱費は、乾燥機稼働に必要な電気代と灯油代(15回分)として計算。
  • ※乾燥山椒の目標収量は、乾燥後の重量を記載
    600kg×1/3=200kg
  • ※実山椒,乾燥山椒ともに動力噴霧器や山椒乾燥機など施設資材を新規購入した場合の減価償却費は計上していません。

山椒農家の1年(例)

*花山椒・赤山椒を収穫する農家は極々限られています。

さらなる収入アップのために〜アイデア次第で販路を広げることも可能〜

収穫されたぶどう山椒を既存のルートに乗せるだけでなく、自ら創意工夫を加えることで、消費者と直接コミュニケーションを図り、多くの方に信頼されるブランドに育てながら販路を広げていくこともできます。
自ら開発したオリジナル商品を直接販売

山椒は食材としての用途に限らず、香料、医療の分野などあらゆる市場から注目を集めています。市場ニーズにあったオリジナル商品を開発することで、販売チャネルの拡大につながります。生産者の中には6次産業化して販路開拓に注力されている方もいます。

希少な「花山椒」「赤山椒」にトライする

実山椒、乾燥山椒以外にも、シーズンの始まりを知らせる花山椒、樹上で完熟させる赤山椒など、希少なものもあります。花山椒や赤山椒は、市場の流通量が少なく、高価格で取引される収穫物です。これらは以前まで未活用資源でしたが、ぶどう山椒全体の商品価値を高めようと、一部の生産者が販売するようになりました。このように着眼点を変えれば、可能性の広がりもみえてきます。

ぶどう山椒以外の働き方「+X」

山椒農家の繁忙期は1年のうちの約60日。それ以外の季節に収入を増やして、自身で働き方を選ぶことが可能です。

 ぶどう山椒農家が山椒栽培に従事するのは4月~8月がメインです。もちろんそれ以外の季節にも農地の整備や剪定をしていますが、いくつかの仕事をかけもちしている山椒農家もいます。
 そこでまず、繁忙期が重ならず、使用する道具が共通するなど、山椒栽培と親和性が高い林業を「+X」として紹介します。
 副業として始めやすい林業の作業内容に「切り捨て間伐」という伐倒作業があります。農業でもチェーンソーを使うことが多いため、技術的な相性もよいでしょう。
 人によって習熟度は異なりますが、伐倒技術は1年間もかからない間に習得できます。使用する道具を見ても、チェーンソー、ヘルメットなど基本装備をそろえれば対応可能です。 

 そこで推奨したいのが、まずは林業を生業としている会社で経験を積み、業務知識やコネクションをつくった後に「一人親方」として独立する方法です。一人親方とは、自分自身と家族などで事業を行う個人事業主のこと。時間の融通や業務量をある程度コントロールできる上、頑張れば頑張った分だけ収入が上がっていきます。
 有田川町の場合、林業従事者への作業依頼は金屋町森林組合、清水森林組合など地場に根付いた森林組合や林業会社から発注されることが多く、今後さらに需要が高まっていく見込みです。
 こちらではまず、林業を世帯全体の収入アップを図る方法としてご紹介しました。そのほかにも有田川町には、みかんの収穫など季節限定のお仕事が数多くあります。

林業(技術習得後の一人親方)

◎条件
作業日:20日/月
期間: 6カ月(9月~3月)
キャリア:当初林業経験なし → 約3年後

*個人差はありますが、1年未満で技術が習得できます。

2,000,000円~
更なる収入アップが可能です!

左記の条件で一人親方になった場合、「約200~300万円」の収入が見込めます。さらに高度な技術を持つ人は「年間500万円」にもなります。
経費は年間30~50万円かかりますが、期日を守れば自身の都合で稼働日を決められるため、林業は「+X」の中心的な働き方になる可能性があります。

  • 組み合わせの例1
  • 組み合わせの例2
  • 組み合わせの例3
  • その他の「+X」の例

    有田川町には、ぶどう山椒以外の農業や、豊かな自然を生かした、仕事の可能性があります。

  • 大根の栽培 9月〜12月 目安として、5アール(500㎡)の畑で約1,800kg(約1,800本)の収穫が可能です。
  • 白菜の栽培 8月〜1月 目安として、5アール(500㎡)の畑で約3,200kg(約1,500玉)の収穫が可能です。
  • 川漁(アユ・モクズガニ) アユ:5月〜12月 モクズガニ:9月〜12月 趣味の延長で収益を得ることも可能です。※漁には「鑑札」(漁業権の購入)が必要です。
  • カフェの経営 カフェをメディアとして利用し、ぶどう山椒の魅力発信の拠点にできる可能性があります。
  • 民泊の経営 豊かな景観、山や川の恵みを生かした料理や体験プランなど、オリジナリティを出すことができます。
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