ぶどう山椒

ぶどう山椒を仕事にする

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BudoSansho+X山村のくらしをデザインする

ぶどう山椒+林業の可能性

若い世代にも
林業の魅力が広がっている

竹上木材株式会社
代表取締役

竹上 光明さん
原木丸太の製造に従事し、約70年の歴史を持つ竹上木材の代表。ITを活用した伐採計画の立案、高性能林業機械を導入した作業の効率化など、積極的に林業の近代化を進める。近年は山林管理事業なども手がけている。

取材日:2020.6.30・9.1

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約70年、日本の林業を守ってきた

 全国でも有数の森林地帯である有田川町において、私たちは仮設用資材に使われる足場丸太の製造業として創業しました。
 有田川の上流域から切り出した木材を、“川流し”という手法で下流に運んでいた時代から、高度経済成長期における住居用建材需要の高まりや、木材価格の低迷にともなう林業経営の変化など、約70年にわたり日本の木材環境を見てきました。

 そんな当社は現在、13名のスタッフたちとともに素材生産をはじめとした林業を営んでいます。スタッフのなかには林業を志して高校を卒業し横浜から移住してきた社員もいます。
 作業道の設置や搬出間伐、皆伐や植栽などの山林整備から、寺社や有形文化財の近くに植えられた樹木の特殊伐採まで、多彩な現場で経験を積むことができます。また山林に関連する資格の取得サポートに力を入れており、先々を見すえて長期的に働ける点が魅力です。

*搬出間伐とは?
木の成長を促すために間伐した立木を、山林に放置せず搬出し、買い取り業者に販売すること。樹木が成長するにつれて密集してしまう立木を、一部切り倒し間伐することで木同士の不必要な“競争”をなくし、強い山林を育てることにつながる。

若手への期待が高まる林業の世界

 林業というと、山に入り斜面で踏ん張るというハードワークのイメージが強いかもしれませんが、最近では近代化・自動化が進んでいて、当社でも積極的に先端技術を導入しています。
 山林の広さや場所を正確に把握するため、日々の仕事に地理情報システム(GIS)を活用していますし、ドローン等を活用して森林を見える化する、和歌山県の実証実験にも協力しています。
 若手社員はシステム化への順応性が高く、日本の基幹産業として林業を進化させていきたいという強い思いを感じます。会社としても次世代を担う人材を前向きに育てていこうと、教育研修制度に力を入れています。

林業とぶどう山椒は相性がいい

 《ぶどう山椒+X》の「X」の部分に、林業が当てはまる可能性は非常に高いと思います。常勤ではなく期間契約にするなど、雇用形態に関わる部分はありますが、ぶどう山椒の収穫時期を避けてうまく兼業する社員も過去にはいました。林業もぶどう山椒も、産業として有田川町にしっかり根づいていますので周囲の理解も早く、十分仕事として成立すると考えます。
 また、技術的にもメリットがあります。ぶどう山椒の木を剪定や、園地の草刈りをするうちに、チェーンソーや草刈り機が使えるようになります。林業には間伐や枝打ち、下刈りという作業がありますので、それぞれの仕事が双方向で生きてくる可能性もありますね。

環境と未来を守る、ものづくりの仕事

 私たちは50年、100年というロングスパンで木を育て、山を守り、人と自然とがいつまでも共生できるよう、インフラ事業の一員として山林に入っています。時間をかけて森を守っていく林業は、自然を相手にした《ものづくりの仕事》だといえます。
 森林がそれぞれの機能を保つため、適切に木を伐ることは未来の森林環境をつくることです。環境と暮らしの未来を守る─それが林業という仕事の、一番の魅力だと思います。

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