ぶどう山椒

ぶどう山椒 ひろがる用途

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ぶどう山椒のエッセンシャルオイル

中野BC株式会社

リサーチセンター食品科学研究所
主任研究員
門脇 昭夫氏(左)
製造部 課長
鈴子 昌人氏(右)
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植物の葉や花、果皮、根などに含まれる香りの成分(芳香成分)を抽出したものは「エッセンシャルオイル」と呼ばれ、アロマテラピーをはじめ、さまざまな分野で利用されています。

日本では「精油」と呼ばれ、古くは江戸時代から医療や美容、健康分野で利用され、明治時代には盛んに輸出されるようにもなりました。現在では、日本にあるさまざまな植物から精油の抽出が行われています。

和歌山県内では、中野BC株式会社が平成27年に和歌山県産の素材にこだわった国産のエッセンシャルオイル「FRAGRANT KISHU-WAKA」の製造・販売を開始し、温州みかんや甘夏、三宝柑といった柑橘類精油がスタート。平成30年有田川特産のぶどう山椒の精油が加わりました。

中野BCの“BC”は「Biochemical Creation=生化学の創造」。清酒や梅酒、蒸留酒など和歌山県の農産物を活かした製品を製造するとともに、大学や外部研究機関と連携して基礎研究に取り組み、地域の薬用資源で人々の健康に貢献するという医薬中間体の開発企業を目指されています。

今回、リサーチセンター食品科学研究所主任研究員で工学博士の門脇昭夫氏と製造部課長の鈴子昌人氏の両氏に、ぶどう山椒精油の開発秘話やそのこだわり、さらに機能性研究などについて伺いました。


聞き手・文章
木田 順子
プロフィール

アロマテラピーコンサルタント
健康のこと研究所 midi 主宰
http://www.kenkounokoto-midi.jp/

一般社団法人 ハンドボンディングケア協会 代表理事

1992年からアロマテラピーに関わり、ハーブ・アロマテラピー 製品の卸販売会社を経て、1997年に独立。東京、鎌倉を中心に約20年間アロマセラピストなどのプロの養成に携わる。

現在は京都を拠点に、初心者~プロ向けのアロマテラピー関連クラスのほか、企業の香り商品の監修、香りにまつわる記事の執筆に携わる。

(公社)日本アロマ環境協会 会員
ナード・ジャパン(ナードアロマテラピー協会)会員

きっと何かある

木田まずぶどう山椒から精油を抽出しようと考えたきっかけを教えてください。

門脇もともと他の香辛料に、抗肥満やエネルギー代謝を良くするという機能性が知られていたためです。同じ香辛料である山椒は、英語でジャパニーズペッパーとも言われていますので、「きっと何かあるはず」という考えから始まりました。山椒の機能性についての研究は、和歌山県立医科大学と共同で、まず「食べること」による影響をみようと始めました。


地域植物の機能性の研究に取り組む門脇氏

蒸留に使用する有田川町清水産のぶどう山椒

ぶどう山椒精油の蒸留に使われる蒸留器

ぶどう山椒精油の開発がはじまる

木田「食べること」による影響の研究から始まり、それが精油の蒸留に移ったのはなぜでしょうか。

門脇マウスにぶどう山椒の粉を食べさせると、確かに抗肥満効果がありました。そこで、山椒の中のどのような成分に抗肥満効果があるのかを調べ始めました。ところが、成分ごとに分けていくと効果が少し弱まっていったのです。「どうしてかな?」と考えました。
 その時に気付いたのが、成分を分ける作業中に山椒の香りが飛んでいるためではないかとういうことでした。それなら、ぶどう山椒を蒸留することで、機能を持たせた精油ができるのではないかと考えたのが始まりです。

木田精油の原料となるぶどう山椒は、初夏のまだ未熟な青山椒、成熟した夏に収穫する干山椒、そして完熟した赤山椒、どの段階のものを使われていますか。

門脇原料は8月、お盆の頃に採取した成熟期の山椒を使います。農家さんが乾燥させて、さらに中の種子を取った果皮の部分を使います。種子は完全には取り除くことができないのですが、多少入っても成分構成に影響はありません。赤山椒は精油量が極端に少なく、また完熟するまで残すと木が弱るため、取り残しがある程度でほとんど手に入ることはありません。

蒸留の工夫

木田ではその機能性について詳しく伺う前に、蒸留についてのお話を詳しく聞かせていただきたいと思います。山椒は冷凍保存して、自然解凍したものを蒸留されるそうですが、蒸留するまでの行程を教えていただけますか。

鈴子まずは少し粉砕をしてから加水し、ペースト状にするためにさらに粉砕したものを蒸留釜に入れます。加水するのは蒸留釜の中で循環させるためです。

木田加水して一気に粉砕せずに、2段階に分けて粉砕するというのは?

鈴子いきなり水を入れるとうまく粉砕できないためです。また、乾燥山椒は熱を持ちやすいので、熱変性を避けるために少量ずつ粉砕するという工夫もしています。
 粉砕することで油胞がつぶれ、ここでも香りが飛んでしまうので、加工して蒸留するまでの時間をいかに短くするかが一番気を使うところです。

木田そしていよいよ蒸留という段階に移るわけですね。蒸留時間はどのくらいでしょうか?

鈴子そこは企業秘密です。(笑)

木田わかりました。(笑)では蒸留後の精油について伺いたいと思います。精油の中には抽出直後には青臭さがあるものがありますが、山椒精油はいかがでしょうか。

鈴子いわゆる蒸れ臭がありますので、それが消えるまで、10日〜2週間ほど、様子を見ながらエイジングを行います。出来るだけ光を遮断して23度〜25度程度の部屋に静置しています。精油、芳香蒸留水ともに蒸留直後は淡黄色で白濁していますが、エイジングするとほぼ透明になります。


常に精油の品質向上に向けて検討を重ねるという蒸留の責任者鈴子氏

蒸留中も釜の中の様子を確認することができる
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