保育所をリノベーションした複合施設で営業する「NOMCRAFT Brewing」
ブリュワー/PRマネージャー 金子巧さん
そこにあるものが、
クラフトビールの個性となる
有田川沿いに広がるみかん畑に囲まれて、NOMCRAFT Brewing(以下、ノムクラフト)の朱色の屋根が山々の緑と青空に映える。
2016年に閉園した保育所の跡地にオープンしたノムクラフトは、米ポートランド出身のベン・エムリックさんとシカゴ出身のアダム・バランさん、愛知県出身の金子巧さんがビールづくりを行う、クラフトビールの醸造所だ。
「レギュラーメニューとして醸造しているのは、IPA(インディア・ペールエール)とゴールデンエールの2種類です。その他にも、月替わりのオリジナルビールや有田川町で収穫されたミカンやデコポン、ハチミツにベルガモットなどを使ったビールも作っています」
ノムクラフトではドイツ、ベルギー、カナダやアメリカから取り寄せた数十種類のホップを使い、これまでに約40種・25トンのビールを醸造してきた。そうした中、地場に根づいた食材をビールづくりに活かすことができないか──そうした想いが少しずつ強くなっていったという。
「ビールづくりの基本となるのは、水、ホップ、酵母、そしてビールの特徴を決める副産物です。香りや苦味をいかに組み合わせ、味わいをデザインするかがブリュワーとしての腕の見せどころ。僕たちが得意とする爽快感やホッピー感を表現するのに、ぶどう山椒はもってこいの食材でした。あと、有田川町でブリュワリーをやる以上、ぶどう山椒を避けて通るわけにはいきませんしね」と、金子さんは笑う。
微かな刺激が心地いい、ぶどう山椒ビール
現在、ノムクラフトがラインナップするぶどう山椒ビールは、「SANSHO NOMCRAFT IPA」と「NOMNOM SANSHO GOLDEN」の2種類。それぞれレギュラーメニューのクラフトビールに、有田川産のぶどう山椒を加えている。
「SANSHO NOMCRAFT IPAに使っているホップは5種類。シトラスのような香りに南国を感じる風味、喉をくすぐる微かな山椒の刺激が感じられるはずです。NOMNOM SANSHO GOLDENはスッキリ感を重視して仕上げました。上品で華やかなフレーバーを楽しめるので、仕事上がりでも週末のBBQでも、時と場所を選ばないビールです」
ひと口飲ませてもらうと、旬を迎えた果実の香り、トロピカルな風味、鼻腔を突き抜ける爽快感がそこにある。それぞれがぶつかり合うことなく調和を織りなしているのは、厳選しているホップの力だとか。
「うちの顔はIPA、その中でもホップの苦みやアロマを重視したアメリカンIPAがベースです。ホップを遠慮なく投入したことで感じられる華やかさと爽やかなホッピー感をぜひ味わってほしいですね」
「SANSHO NOMCRAFT IPA」「NOMNOM SANSHO GOLDEN」
クラフトビールの味わいと風味を決めるモルト